OpenSolaris 2008.11 に初期インストールされる、Gnome Desktop のアプリケーションのうち、Evolution のデフォルト起動時に、スレッド/コンテンツペインの日本語表示部の文字化けが生じている。 アプリケーションのメニューの日本語表示には問題はない。
本稿はこの文字化けの回避策について記したものである。
動作環境:
Evolution 2.24.0 with opensolaris 2008.11 snv_101b_rc2 on VirtualBox 2.2.0
VirtualBox 2.2.0 r45846 on osol-0906-pre-snv_111a で検証.
VBox Guest に OpenSolaris 2008.11 をインストールした.
症状:
Evolution 2.24.0 with OpenSolaris 2008.05 snv_101b_rc2 では、Evolution 設定 Default : char encoding UTF-8, composer: 文字集合 UTF-8 受信メイル(注1)が以下の場合、送受信メイル本文、件名にある日本語表記のすべてが文字化けする。
Content-type: text/plain; charset="ISO-2022-JP"
Content-transfer-encoding: 7bit
(注1): Evolution 2.26.1 on Ubuntu 9.04 でメイルを作成し、自前メルアド宛送信した。
Thunderbird-2.0.0.21 (X11/20090323) でメイルを作成し、自前メルアド宛送信した。
Content-type: text/plain; charset="ISO-2022-JP"
Content-transfer-encoding: 7bit
Fig-01 Evolution メッセージペインの文字化け
回避策:
日本語サポートパッケージ(Lang-support-japanese)をインストールすると正常に表示されるようになる。
このパッケージをインストールしたのちに、$HOME/.evolution ディレクトリを削除する。
$ rm -fr ~/.evolution
Evolution を起動する。新たに $HOME/.evolution が作成される.
Evolution の設定:
デフォルトエンコーディングとコンポーザの文字集合を JIS-2022-JP とする。
UTF-8 の設定では日本語のメール送受信、他のメールクライアントの兼ね合いで不具合を起こすこともある多々あるので。 適宜ユーザにて設定項目を最適化する.:メール、カレンダー他。
備考: OpenSolaris 08.05, 09.06-preview, Jaris でも同様の回避策をとることで文字化けを解消できた。
Fig-02 Evolution 回避策後のメッセージペインの日本語表示
# VirtualBox Guest :
$ uname -a
SunOS osol0811 5.11 snv_101b i86pc i386 i86pc Solaris
$ more /etc/release
OpenSolaris 2008.11 snv_101b_rc2 X86
Copyright 2008 Sun Microsystems, Inc. All Rights Reserved.
Use is subject to license terms.
Assembled 19 November 2008
$ pfexec pkg authority
AUTHORITY URL
opensolaris.org (preferred) http://pkg.opensolaris.org/release/
$ pfexecpkg list -av | grep lang-support-japanese
pkg:/lang-support-japanese@0.1,5.11-0.101:20081119T235645Z known ----
pkg:/lang-support-japanese@0.1,5.11-0.86:20080709T084143Z known u---
日本語サポートパッケージをインストールする。
$ pfexec pkg install -v pkg:/lang-support-japanese@0.1,5.11-0.101
Creating Plan \ 評価前:
UNEVALUATED:
+pkg:/lang-support-japanese@0.1,5.11-0.101:20081119T235645Z
評価後:
None -> pkg:/lang-support-japanese@0.1,5.11-0.101:20081119T235645Z
None -> pkg:/SUNWjos@0.5.11,5.11-0.101:20081119T233432Z
None -> pkg:/lang-support-common@0.1,5.11-0.101:20081119T235643Z
None -> pkg:/SUNWisolc@0.5.11,5.11-0.101:20081119T223513Z
None -> pkg:/SUNWuium@0.5.11,5.11-0.101:20081119T230639Z
None -> pkg:/SUNWmp@0.5.11,5.11-0.101:20081119T215017Z
None -> pkg:/SUNWctpls@0.5.11,5.11-0.101:20081119T215912Z
None -> pkg:/SUNWiconv-unicode@0.5.11,5.11-0.101:20081119T223240Z
None -> pkg:/SUNWlang-common-extra@0.5.11,5.11-0.101:20081119T233510Z
None -> pkg:/SUNWpostgr-l10n-ja@0.5.11,5.11-0.101:20081119T234315Z
None -> pkg:/SUNWtgnome-l10n-ui-ja@0.5.11,5.11-0.101:20081119T234359Z
None -> pkg:/SUNWlang-ja-extra@0.5.11,5.11-0.101:20081119T233827Z
None -> pkg:/SUNWjxwsvr@0.5.11,5.11-0.101:20081119T233441Z
None -> pkg:/SUNWpostgr-82-l10n-ja@0.5.11,5.11-0.101:20081119T234246Z
None -> pkg:/SUNWdesktop-other-l10n-ja@0.5.11,5.11-0.101:20081119T231841Z
None -> pkg:/SUNWiconv-extra@0.5.11,5.11-0.101:20081119T223232Z
None -> pkg:/SUNWjdhcm@0.5.11,5.11-0.101:20081119T233429Z
None -> pkg:/SUNWgnome-l10ndocument-ja@0.5.11,5.11-0.101:20081119T232344Z
Actuators:
None
PHASE ITEMS
Indexing Packages 554/554
DOWNLOAD PKGS FILES XFER (MB)
Completed 18/18 3414/3414 32.83/32.83
PHASE ACTIONS
Install Phase 4278/4278
Reading Existing Index 9/9
Indexing Packages 18/18
日本語サポートパッ ケージの一部コアとなるものは Live CD からのインストール時に無条件にインストールされるようだが、上記の操作で Live CD にはないパッケージも追加される。EUC や SJIS (PCK) のロケールが入ったり iconv のサポートするコードセットの種類が増えたりするそうだ。
付記事項:
[引用]
Theme 第26回メーラーの変更:Evolutionの設定, Gmail on Prism, Thunderbird, Sylpheed
_______________________________________
Evolutionの問題点について
Evolutionは欧米ではメジャーな実装のひとつで,できるだけMicrosoft Outlookに近い操作性を持つ、優れた統合アプリケーションです。
メールのやりとりだけでなく,予定表やタスクの管理といった、PIM(Personal Information Manager)としての機能も搭載されており、さらにMicrosoft Exchangeに対応したクライアントでもあるため、PCをビジネスで利用する人にとっては非常に便利なはずです。
ですが,日本国内では次のような問題点があり,メインのメーラーとして利用するには厳しいものがあります。
* 問題点 1:デフォルトでは,送信するメールの文字コードがUTF-8になっている。
* 問題点 2:添付ファイルの日本語の判定がうまくいかない。
* 問題点 3:メールのSubjectのエンコードが強制的にUTF-8になる上,作者に直すつもりがない。
特に,送信するメールの文字コードがUTF-8になっているのは,相手がUTF-8を読めない環境の場合,致命的です。(現代的なメーラーはほとんどがUTF-8を認識できるはずですが,EmacsベースのMUAを古めのEmacsで使っている場合や,古いメーラーを使っている相手には「ただの文字化けメール」になってしまいます)(注1)。
注1)もっとも,CJK(中国・日本・韓国)以外の言語圏ではUTF-8は広く利用される文字コードであり,UTF-8を読めない環境の方に問題がある,とも言えます。
Evolutionの設定変更
問題2・3についてはEvolutionのコーディング上の問題であり,もし Evolution を使うのであれば諦めるしかありません。(パッチは存在するので適宜それを当てる,というのも一つの手ではあります)。
ただし,問題1については,次のように設定することで回避することができます。設定すべき箇所は2つあります。
まず,Evolution のメニューから[編集]→[設定]を選択し,左側ペインにある「メールの設定」を開きます。 この設定項目にある,「デフォルトの文字エンコード」として,日本語(ISO-2022-JP)を選択します。
同様に,左側ペインの「コンポーザの設定」にある,「文字集合」にも日本語(ISO-2022-JP)を選択し,OKを押します。
この状態であれば新規に作成されるメールの文字コードは暗黙でISO-2022-JPが利用されるようになり,日本国内での一部のメールのやりとりに支障が出ることが減るはずです。
なお,この設定を行っても,メール本文に UTF-8 でしか表現できない文字が入力されると,自動的に文字コードが UTF-8 に変更されます。何等かの理由で UTF-8 が利用できない(利用すべきでない)場合には注意してください。